2012年04月04日

なぜ日本ではサプリメントが有効に機能しないのか

品がいびつな理由――業界では昨今、サプリメントの販売にあたり、「何もいえず売りようがない」というぼやきがあちこちで聞かれます。実際、薬事法をはじめとする法と絡み、日本の健康食品が置かれた状況は「いびつ」といわざるを得ません。

その通りです。もっとも理由は明白。つまり、いまに始まったことではありませんが、健康食品の位置付けがあいまいだからです。食品でもないクスリでもない「いわゆる健康食品」。そんな宙ぶらりんな状態だから決まったこともなく、結果、ルールもあいまいになる。これでは業界の健全な発展など望むべくもありません。

――AIFNではそのミッションステートメントの中で“日本における適切かつ諸外国とも整合のとれたサプリメントに関する社会的な定義を確立するためにあらゆる努力を惜しみません”と宣言しています。

国際的視点から見た場合、日本のサプリメントのおかれた状況には孤立感があります。日本だけが独自の動きをしており、異質に映ります。先進国のアメリカはおろか、中国、韓国などの他のアジア諸国よりも、その利用環境が劣っているのは残念なことだと思います。

なぜ日本の動きは世界に逆行するのか――なぜ日本の動きは世界からズレてしまったのでしょうか。

これは我々も含めた業界団体の努力不足、ということになると思っています。といいますのも、これまでに何度かチャンスもあった中で、本気でどういうものにしたいのかという青写真を描き、提示し続けてこなかった。そのツケがいま響いているんだと思います。行政との折衝において、その担当者は頻繁に変わりますし、知識に優れた人が必ずしも揃っているわけではありません。そうなりますとやはり、業界の事情、世界の状況、消費者の状況などを熟知する業界団体が主導になり、しっかりとした青写真を行政に対し、提示する必要があります。それが出来なかった、ということではないでしょうか。

――そうした状況を踏まえてか、昨今は業界団体も法制化を視野に入れた動きを活発化させています。

いい流れだと思います。ただ大事なことは、業界6団体がしっかりと足並みを揃え、行政に対し、しっかりとしたリーダーシップを示すことです。9月には消費者庁が発足し、関連の一部事案が厚労省から移管されます。その中にはヘルスクレームも含まれるそうですが、そういった方面の知識や見識のあまりない人が集まるともいわれています。そうした場合、業界団体がしっかりと情勢やニーズを見極めたたたき台なりを示すことが重要です。そうしなければ、本当に必要とされるものにはならないと思います。今度こそ、キチンと青写真を提示することが大切ですね。

――業界の健全化にはやはり法制化が必要とお考えですか。
そうですね。ただし「法制化ありき」というよりも、まずは現状におけるサプリメントの周辺環境を整えるなどの土台固めが大切と私は考えています。AIFNは前進のNNFAジャパンを含め、2009年で設立10周年を迎えました。それを機に名称も改称。今後、しっかりと周辺環境を整える作業を進めていく上でも、組織体制もよりシステマチックに有機的に動けるものに改変しています。海外情報の発信、国際団体とのパートナーシップを推進する「国際委員会」、調査、研究など科学的観点からさまざまな活動などを行う「科学委員会」、協会内外に向けた広報活動を目的とする「広報委員会」、サプリメントの法制度化や輸入時の食品素材の承認の迅速化などについて対応する「法務委員会」。これら4つの委員会が、各事案に対し、迅速にスムースに対応していくことで、環境整備をしっかりと進めていけると考えています。

新理論「ヘルスGDP」とはなにか
――10周年にあたってはAIFNは、新戦略として「ヘルスGDP」なる新理論も提唱しています。

これはAIFNが提唱する新しい考えでGDPから医療費の支出など、病気による損失を引いたものになります。ヘルスGDPを高めるためには医療費の削減が不可欠です。となりますと、病気になる前に健康維持で使用するサプリメント等の利用促進にもつながってくると考えます。こういった一般の人にもより分かり易い理論を提唱することで、サプリメントの位置付けが明確に認知いただける一助になれば、と思っています。現在、専門家とデータの整理などを進めており、論文や書籍など、何らかの形で一般の人々にも知ってもらうよう働きかけていく予定です。

――日本統合医療学会とも提携しましたね。
サプリメントの位置付けを考えたときに、医療の中での重要性を認識してもらうことは大きくプラスに働きます。同学会は、サプリメントを肯定的に捉える医師も多く、厚労省も一定の評価をしている団体です。薬剤師や栄養士はもちろんですが、なかでもいわゆる治療のプロフェッショナルである医者の影響力は大きい。そういったところでサプリメントが、一層認知されていけば、その位置付けも自ずとハッキリしてくると思います。11月の統合医療学会では、AIFNも参加し、講演を行う予定です。

――一般へ向けては新理論の「ヘルスGDP」、ドクターに対しては日本統合医療学会との提携。サプリメントのポジショニングを考えると非常にバランスのとれたアクションですね。
先ほども言いましたが、今の世界的に孤立した日本のサプリメントの現状はこれまでの業界団体の努力不足と私は思っています。いろいろな背景はありますが、結局、しっかりとやらなければツケは自分たちに回ってくる。ですから、6団体が足並みをそろえることはもちろん重要ですが、それ以前に、各団体がいったこと、掲げたことをキチンと責任を持って進めていくことが大切だと思います。そうした各々の活動の延長線上には、自ずと法制化というものも見えてくると思います。

課題解決は諸外国との連携に視野にグローバル展開
――最後に理事長として、意気込みと今後の展望をお願いします。

5月にAIFNとしての新戦略を発表してから各方面のプロフェッショナルの方々から多くの支援の声が聞こえてきました。我々の目指す方向性に期待を感じて下さっていることをヒシヒシと感じますし、本当にありがたいことだと思っています。この期待にこたえることは、掲げたことを着実に実行することしかありません。2007年に業界団体として始めて掲げたミッションステイトメントはもちろん、グローバルな視点で活動できるという点では、これまで以上にアメリカを筆頭とした諸外国との連携も深めていきたいと考えています。高齢化社会を迎えた日本にとってQOLを高めることは社会的自立をサポートするための大きなテーマです。サプリメントはそういったものをサポートする役割としても期待されています。その一方で日本では諸外国と比べ、その有効性や安全性に関する情報が伝わりにくいものとなっています。そうしたサプリメントを取り巻く様々に課題に対し、これまで先輩方が築いてこられた多くの知見や経験を大事にしながら、関連団体、関連省庁とも連携を深め、さらに社会へのアピール力を増すために現在約90社の会員企業を1社でも多くできるよう働きかけながら、ひとつひとつ真摯に取り組んでいきたいと思っています。
posted by 川崎智子 at 01:10| Comment(0) | サプリメント | 更新情報をチェックする
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